大人の発達障害者の障害者手帳の取り方まとめ 体験談をもとに

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大人の発達障害者が手帳を取るなら、どうするのがベストなのでしょうか?

自閉症スペクトラムやADHD、ADDなどの発達障害の診断を受けた場合、考えられるのが障害者手帳を取得するということです。

2016年現在、大人の発達障害者が取得できる障害者手帳は、「精神障害者保健福祉手帳」がほとんどです。

精神障害者手帳を取ることは、就労支援やSST、税などの減免など、社会生活の困難を軽減するためのメリットがいっぱいです。
しかし同時に、自身がほんとうの意味で「障害者」とされてしまうようで抵抗がある大人の発達障害の方も多いのではないでしょうか。

またそもそも、発達障害の症状によっては、精神障害者手帳の申請自体が難しく、困難に思える場合もあるかと思います。

そこでこの記事では、発達障害者が障害者手帳を取るとどうなるのか、また、どうすれば障害者手帳を取ることができるのかについてまとめます。

大人の発達障害と障害者手帳

大人の発達障害者が手帳を取るとは、いったいどのようなことなのでしょうか。

取得できる障害者手帳

障害者手帳には、「身体」「精神」「療育」がありますが、まず前提として、基本的には精神障害者保健福祉手帳(以下、精神障害者手帳)を取得することになります。

大人の発達障害の方は、自閉症スペクトラム(高機能自閉症、アスペルガー等)やADHD、ADDといった診断を受けていると思います。

これらの診断を受けている場合、前提として、発行されるのは精神障害者手帳です。

療育手帳

自閉症スペクトラムという概念の中には知的障害を伴う自閉症(カナー症候群)も含まれており、その場合は療育手帳が取得できることもあります。

しかし、この記事を読んで、自力で手帳取得を行うということは、知的障害のない高機能の発達障害者であると思いますので、療育手帳については考えなくてOKです。

手帳の等級

精神障害者手帳には等級があり、軽い方から3級、2級、1級です。

大人の発達障害の場合、「働いたことがある」くらいの場合にはほぼ3級での認定になります。
ずっと引きこもっていて社会生活を送ることが困難、自傷他害(自殺未遂したことがある)などの重篤な場合で2級の認定になるといわれています。

発達障害だけで1級の認定はほぼありえません。

「手帳」という言葉

さて、これは豆知識に近いことなのですが、発達障害者の世界では、精神障害者手帳のことを単に「手帳」と呼ぶことが多いです。

発達障害の診断を受けると、同じ大人の発達障害者同士の当事者会に行ったり、インターネット上で発達障害者同士で知り合ったりすることができるかもしれません。

そのような場所では略して「手帳」というだけで通じることがほとんどです。

自己紹介をしたときに、「手帳は取ったの?」「手帳持ってる?」と質問されることさえあります。

もし初めて当事者会などに参加する場合は、覚えておくと会話がスムースになるでしょう。

※これは想像ですが、大人の発達障害当事者としても、「障害者手帳」という言葉に含まれる、障害という言葉が辛いのかもしれません。
発達障害についても、単に「発達」と略すことも多いです。

手帳取得のメリット

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それでは、大人の発達障害者はなぜ精神障害者手帳を取るとよいのでしょうか?
どのようなメリットがあるのでしょうか?

手帳取得は支援を受けるため

まず前提として覚えておきたいのは、手帳を取得する最大のメリットは、発達障害者向けの就労支援や、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)などが利用できるようになることです。

もちろんバス運賃や公共施設の料金減免、税金の控除などのメリットもありますが、それよりも重大なのは、発達障害者が社会適応するための支援制度を利用するための入口になる、ということであるといえるでしょう。

それでは、大人の発達障害者が障害者手帳を取得する具体的なメリットについて挙げてみたいと思います。

1:就労移行支援などの利用がスムース

障害者手帳を取得する大きなメリットだと考えられるのが、就労移行支援などの職業訓練がスムースに利用できるということです。

就労移行支援とは、企業に就労・就職し、定着して働くことができるようになるための訓練プログラム。

就労移行支援は障害者手帳がなくても利用できる、ともされていますが、スムースな利用のためにはやはり、障害者手帳を取得しておいたほうが無難です。

就労移行支援の事業所のホームページを見ると、「手帳なしでも利用できる」とQ&Aに記載されていることがほとんどですが、実際に説明会や見学に行ってみると、障害者手帳を取得している人のほうが、事業所としては望ましいという雰囲気を感じることがほとんどかと思います。

就労移行支援などの支援制度のスムースな利用のためにも、手帳取得はおすすめです。

2:障害者枠での就労が可能

発達障害者にとって重要なのが、障害を隠して(クローズ)で働くか、障害を明かして(オープン)で働くか、ということです。

障害を明かして働く場合に考えられるのが、障害者枠での雇用
企業への障害者枠雇用の義務付けは年々範囲を拡大しているので、手帳を取ることで、働きやすい職場に出会える確率はより高まることでしょう。

「枠」という言葉

ちなみに、大人の発達障害者の間では、障害者枠雇用のことを単に「枠」とか「枠雇用」「枠で働く」と呼ぶことも多いです。

3:障害年金がもらえる(かも)

手帳取得後、障害年金の申請をすることで、年金がもらえる可能性もあります。
支給額は多くの場合、月に6万円くらいになるようです。

……しかし、2016年現在、大人の発達障害者が障害年金をもらえる可能性はほぼゼロです。
精神障害者・発達障害者の年金支給の審査はどんどん厳しくなっています。

そして、障害年金と障害者手帳はじつは別個の制度なので、手帳をとったからといってお金がもらえるわけではありません。

障害者手帳の診断名が「ADHD」や「自閉症スペクトラム」などの発達障害単体ではまず受給は不可能。
付随して他の精神疾患が記載されていて、やっと可能性がある、というくらいですが、それでも、働いた経験があるレベルの発達障害者にはまず年金は下りません。

また、手帳の等級は2級以上が必須といわれています。

かつて、発達障害者が簡単に障害年金をもらえた時代もありましたが、そのようなことはあきらめて、働くことで社会を生き抜くことを考えるしかありません。

4:公的サービスや交通機関の割引

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精神障害者手帳を取ると、美術館や博物館などの入場料が割引になったり、交通機関の料金が割引になったりと、生活がすこし楽になります。

交通機関の割引

とくに効果が大きいのが、交通機関の割引
手帳を提示すると運賃が半額になります。

精神障害者手帳で料金が割引になるのは、路線バス(民営含む)と、都営地下鉄などの公営交通です。

路線バスは、ほとんどの場合、公営・民営の関係なく運賃は半額です。

また公営の地下鉄も運賃が半額になることが多いようです。

東京都民は都バスと都営地下鉄が乗り放題

東京都に住民票がある方は、都営地下鉄や都営バスの定期券売り場で手帳を提示すると、都営交通無料乗車券を発行してもらうことができます。

都営交通無料乗車券はPASMOと同じ形の、都バスと都営地下鉄が乗り放題のICカード。
大人の発達障害で生活が厳しいときも、運賃を気にせず移動することが可能です。

ただし当然ですが、埼玉や神奈川といった近隣の県に住民票がある方は、この乗車証を発行してもらうことはできません。

JRや私鉄は割引なし

なお、精神障害者手帳の場合は、JRや私鉄といった鉄道は割引にはなりません。
(身体障害者手帳や療育手帳では半額になります)

公共施設が無料

障害者手帳を提示すると、国立や都道府県立の施設のほとんどが無料で使えます。
美術館や博物館は無料で入場可能です。

ただし美術館であっても民営の場合は料金を払うことが必要です。
(割引料金になることもあります)

携帯電話などの料金も安くなる

docomo、au、Softbankの大手3社は、携帯電話の基本料金に障害者割引を設けています。
詳しくは窓口で聞いてみると、割引を適用してもらうことができますよ。

ただし、割引の対象になるのは基本料金だけで、スマホの通信プランはそのままです。

格安SIMなどとどちらが安いか、あらかじめチェックしておきましょう。

5:税金の控除・減免

障害者手帳を持っていると、税の控除や減免を受けることができます。

つまり、税金が安くなるということです。

これは自分が世帯主の場合だけでなく、扶養されている場合にも控除を受けることが可能です。
親と同居している場合も、親に控除が受けられるかもしれないと伝えてみるとよいでしょう。

このように、大人の発達障害者が手帳を取得すると、発達障害ならではの生活の困難さを軽減することが可能です。

大人の発達障害に適した支援を受けるためにも、障害者手帳を取得することは自立の第一歩といえるでしょう。

精神障害者手帳のデメリット

それでは、大人の発達障害で手帳取得をしたとき、デメリットはあるのでしょうか?

デメリットはとくにない

精神障害者手帳を取ることに、表面的なデメリットはありません

そのことでなにか、権利を制限されたり、障害者であることが周りにわかったりすることはありません。

もちろん、会社に対してバレる心配もありません。

心理的問題

ただし、障害者手帳を取得するということは、行政によって公に認められた「障害者」となることでもあります。

自分が障害者になってしまった、と落ち込んだりする可能性もあるでしょう。

しかしながら、発達障害の診断をすでに受けたうえで手帳を取得するということは、自分が障害を抱えながらも生きていくことを、少しずつ受け入れていくプロセスでもあります。

そして、そのプロセスのうえでは、大人の発達障害者のための支援制度を利用することは不可欠です。

社会と折り合いをつけ、自身の障害を受容して生きていく。
そのためには、手帳を取って良いことこそあれ、悪いことはないといえるのではないでしょうか。

精神障害者手帳の取得方法

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それでは、大人の発達障害で手帳を取るためには、具体的にどうすればよいのでしょうか。

1:発達障害の診断を受け、6ヶ月以上経過する

まず、発達障害の診断を受けていないことには手帳を取得できません。

とはいえ、障害者手帳を取ろうと思うくらいに自分の障害を認識しているのですから、ここはとくに問題ないでしょう。

2:主治医に相談する

手帳を取りたいということを主治医に相談しましょう。

発達障害について知識のある医師でしたら、障害者手帳の取得には慣れているはずなので、あなたの手帳取得に協力して、スムースに申請を進めてくれることと思います。

3:必要書類を用意する

申請のために必要書類を用意します。

必要なものは以下のとおりです。

・医師の診断書
・申請書
・本人の証明写真
・マイナンバーのわかるもの

医師の診断書

障害者手帳用の書式のものが必要です。

医師に任せれば問題ないでしょう。

申請書

精神障害者手帳申請用の書類を自分で記入します。

専用の用紙は役所の窓口でもらえるほか、自治体によってはWebからpdfでダウンロードできることもあります。

証明写真

障害者手帳ができあがったときに貼り付けるための写真を提出します。
駅やコンビニなどにある証明写真機で撮ったものでOKです。

マイナンバーがわかるもの

マイナンバーカード、もしくは個人番号通知カードが必要です。
役所での提出時に本人確認のために使います。

4:書類を提出する

役所の窓口で、必要書類を提出し、申請します。

窓口は地域の保健センターだったり、市役所・区役所だったりとまちまちなので、あらかじめ確認しましょう。
すでに自立支援医療を利用している場合は、同じ窓口で申請可能です。

5:待つ

審査され、手帳が発行されるのを待ちます。

だいたい1〜3ヶ月かかるとされていますが、大人の発達障害当事者の間では、手帳交付には3ヶ月かかるというのがもっぱらの噂です。

申請のあとに審査がありますが、基本的に医師にきちんと診断書を書いてもらえば、手帳がもらえない、ということはないはずです。

6:手帳を受け取る

申請したのと同じ窓口に、発行された手帳を取りにいきます。

手帳の受け取りは、基本的に窓口だけとなり、郵送で受け取ることはできません。

平日に時間をつくって取りに行くことになります。

以上で手帳の発行は完了です。
手帳を使って、就労支援をはじめとする行政サービスを利用することができるようになりますよ。

障害者手帳取得のポイント

大人の発達障害での手帳取得のときに気になるいくつかのポイントを解説します。

申請のタイミングは自立支援の更新と同時がおすすめ

障害者手帳の申請には医師による診断書が必要となりますが、診断書の発行には、通常、5,000円くらいの診断書料が必要です。

この金額、馬鹿になりません。

そこで、診断書料を節約するためにおすすめなのが、自立支援医療の更新と同じタイミングで、同時に申請するということです。

自立支援医療の更新にも、障害者手帳と同じく医師の診断書が必要なのですが、障害者手帳と自立支援医療を同時に申請した場合、診断書が1枚で済むような制度になっているのです。

診断書料が半分で済むので、ぜひこのタイミングを合わせるのがおすすめです。

診断書料が払えないとき

大人の発達障害では、経済状況が厳しいのもよくあることです。
診断書料の支払いが厳しいことも有りえます。

そこで利用したいのが、障害者手帳を申請するとき、診断書料を補助してくれる制度です。

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たとえば上記の画像のさいたま市の例では、4,000円まで診断書料が補助されます。

ただし、この制度は自治体によって、あったりなかったりします。

もし自分の住んでいる自治体にこの制度がある場合は、積極的に利用しましょう。

申請が難しすぎる

ADHDやADDの診断を受けている発達障害当事者の方には、申請書類を書いたり、書類を揃えたり、窓口に決まった時間に行くのが難しかったりする方もいるはずです。

そんなときにはどうしたらよいのでしょうか。

家族の助けを借りる

同居している家族がいるときには、家族の助けを借りて、書類提出を手伝ってもらうとよいでしょう。

窓口で相談する

誰かに助けてもらうことが困難な場合は、とにかく、まず役所の専門の窓口までたどり着いて、自分が書類提出が困難な障害を持っている、ということを担当者に相談するとよいでしょう。

じつは、役所の保健関係の窓口では、発達障害にかぎらず、生活相談をすることができます。

役所の専門の担当者と、プライバシーの確保されたブースで相談をすることが可能です。

そのうえで、書類提出に補助が必要だが、自分は書類を揃えるのが苦手だということを伝えて、書類作成の補助をお願いしましょう。

書類作成が難しいことに対して支援を受けたいのに、その支援を受けるための書類が作れない。
まさに鶏が先か卵が先かという状態なので、それを打開するには、役所の支援を受けることがいちばんです。

障害者手帳を取った後にすること

さて、この流れを守れば、大人の発達障害者が手帳を取ることは問題なくできることでしょう。

では、手帳を取ったら、次に何をすればよいのでしょうか?

答えはひとつ。
就職・就労を目指し、安定した仕事を得ることです。

手帳を取る最大の目的:就職・就労サポートを得ること

大人の発達障害者が障害者手帳を取る最終的な目的は、生きていくためにほかなりません。

障害者手帳を生かして生きていく。
もちろん福祉サービスを優先的に受けることにも使えますが、ポジティブに活かすとするならば、就職・就職のサポートを受けるために使うことが最大の活用法だといえるでしょう。

障害者手帳を持っていれば、就労移行支援や障害者枠雇用(オープン雇用)といった方法が問題なく使えるようになります。

就労移行支援で体調やメンタルの自律を学び、仕事をするためのスキルを身につける。
そして、安定して働くための職場を求人紹介サービスを利用してみつける。

それだけで、障害者手帳を持たず、何もしないで働こうとするよりも、ずっと安定就労と安定収入を得ることが容易となります。

では、具体的にはどのような就労移行支援や求人紹介サービスを利用するのがおすすめできるのでしょうか?

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発達障害の支援を受けるために手帳を取ろう

大人の発達障害者が手帳を取得することは、メリットこそあれデメリットはほぼありません。

発達障害でいちばんの問題になるのが、どうやって働いて、お金を稼いで生きていくか、ということ。
それを少しでも現実的にできるようになるためには、さまざまな支援を受けるのが近道です。

生活の苦労を軽減するために、ぜひ障害者手帳の取得を考えてみるとよいでしょう。

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