離婚後、幸せと不幸せのスケールで計れないものを選択したら。安易に再婚しない決意をした理由。

こう書くと誰かの癇に障るかもしれません。
再婚した人は十分考えた上で決断していないと言いたいのではなく、私自身が考えていたことです。離婚してから5年、まだ再婚していません。

独身で居ることは気楽だと、離婚して思いました。
30歳になる手前にあった、「結婚するかどうかを周囲に見張られているような感覚」もなく、子どもがいないことを誰かに指摘される恐さもなく、平穏でした。

3分の1が離婚する今、出戻りという言葉も聞かれなくなりました。
離婚した40前の女性として地域に存在することは、さほど苦痛ではありません。

私の場合「子どもが出来なくて帰ってきた」と思われている節があり、「事情があったのだから仕方ない」という空気感が漂っているのは感じていました。
田舎で跡継ぎの考えが根強く残る地域では、子どもを生んでいないことは、非常に重い事態なのでした。
実際の離婚理由は少し違うのですが、決めつけられている違和感がありながらも、何も触れられないのがラクでした。
語弊があるかもしれませんが、かわいそうと思われているのはある種ラクなのかもしれません。

別の人生を創造したいなら、向き合っておくべきこと。

妬まれないポジションは、負の感情をぶつけられることもなく、もはやマウントを取られることもなく、どことなく違うフィールドに来たような気分でした。

国産車に乗っている、輸入車に乗っている、新車に乗っている、中古車に乗っているとか、そんな価値基準の中に入っていないような。
私は車持ってない、歩いている。というような。

賃貸か、持ち家かという話ではなくて、私はどこにも住んでいなくて年中世界を旅をしているというような。

周りがそもそも興味を持たないところにいる、その表現が合っているのかもしれないと思ったのでした。上下をつけられるとしたら・・・というのはあまり考えたくないことです。

もっといい仕事、もっといい生活、もっといい何か・・・
実はそんなことを考えていたのだと思います。四六時中、他人のことを気にしていました。
嫉妬は距離に比例するもの。あの人は自分と比べてどうか、何を持っていて、幸せかどうか・・・頭の中で自分を誰かの上に置いたり下に置いたりしながらエネルギーを消費する遊びをしていました。
でも、もう、勝ち負けの世界にはいられないと思ったのでした。

「焦って再婚して失敗する」ありがちなルートを辿りそうになった。「独身は不幸だ」と思い込んでいると気づく。

離婚後、結婚している人を羨む気持ちは強くありました。最初から、すぐに再婚しないと決めていたわけではありません。
自然の流れに任せようと思っていたわけでもなく、ただ、結果論で、再婚の機会がなかっただけかもしれません。
時間が経った今、独身の気楽さを味わっているだけで、離婚したという事実を重く受けていた時期があり、独身で居ることの不安感を味わったこともありました。

離婚に至るまでのダメージは相当なものでした。
精神的にも肉体的にもおかしくなる中、急がなければいけない手続きを立て続けに片づける必要がありました。
大丈夫だとか、落ち着けと言われても、無理だと思います。
一人でいることに慣れていない私は、このまま一生一人だったらどうしようと不安でした。自分の力で生きていく自信など少しもないまま別れ、覚悟も何もなく、ただ、実家があり両親が健在だったことが大きな救いとなりました。

結婚している間は通っていなかった精神科にもう一度かかり、治療を受けました。
そして、ここで、私は障害があることを知ります。
この出来事から、障害者手帳を持つことになり、仕事は作業所に変わり、別の人生が始まったように思います。
受け入れるまで、理解するまで3年ほど要しましたが、障害のある私のままで幸せでいられることを知りました。



離婚した時は、結婚が続いている人がうらやましく、私も早くまたそうなりたいと思いました。
若くなければ結婚できないとも信じていましたから、とにかく焦っていました。
離婚時にはすでに30代半ば。もう無理だと思いました。
早く婚活をしたほうがいいと直接私に言ってくれた親族もいましたが、そういう気持ちにはなれませんでした。エネルギーが涸れていてうつ状態がひどく気力がなにもなかったのです。

結果、これが良かったと思っています。
「こうしていたら」「ああしていたら」なんて考えても、他の選択をした自分は存在しませんから結局は分かりません。これでよかったと思う他ないのかもしれませんが・・・

不安や孤独感から逃れるために、次の結婚相手を探しても、不安や孤独へ向かうだけです。
また離婚を繰り返すかもしれません。
次はもう、今回私を助けてくれた両親はこの世にいないかもしれません。

どうしても、次は失敗したくない。
そんな思いが強すぎて、私は頑なでした。
なぜこの結果を招いたのか、原因を検証する前に行動してもあまり意味がないように、離婚に至った理由を充分に理解しておく必要があると思ったのです。
相手を変えたからと言って、自分が変わっていなければ、似たような事態になることは容易に想像できます。
自分の傾向を掴んで対策する、受験勉強に似ているところがあるかもしれません。
決まった答えがあるわけでもなく相手は不規則な動きをする人間ですし、相手を取り巻く義両親や親族がいるため、実際は、受験のようはいかないのですが。

考えないまま見切り発車する人生もいいと思うけれど、まだ時期ではないと思う時間が数年続き、もう40歳が見えてきました。
ベストタイミングって何なんでしょうか。
やってきたチャンスのように見えるものをかすかな違和感で見送ったり、不安の中待ちながら、少しずつまた風が吹いてくるのを感じたりする、とても小さなエネルギーの動きを見極めた結果、掴むものかもしれません。

遅いとか、早いとかなくて、それぞれ違うのですよね。
そのタイミングが来ない人もいる。
だから良いとか、悪いとかはないのですね。


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